だれだっけは、「宇宙人に紹介したい、いちばんすごい地球のものは?」のような変な質問に全員が順番に声で答えて、しばらくしてから「あの人、なんて答えたっけ?」を思い出すゲームです (僕が作っています。無料・1 卓 3〜8 人・登録なし)。この記事は、その思い出す側を強くするコツです。
ただ、記憶ゲームと聞いて身構えた人にまず伝えたいのは別のことで——このゲームは、記憶力の弱い人が最下位を突きつけられないように作ってあります。得点の数字は結果画面に出ませんし、思い出せなかった人を名指す言葉もありません。そのうえで、少しでも思い出しやすくなる手を書きます。
- ぜんはん質問に声で答える5 つの質問に、1 問ずつ全員が順番に声で答える。スマホには何も入力しないし、答えは記録されない
- こうはん「あの人なんて答えた?」人と質問の組が 1 問ずつ出題される。みんなで思い出して、せーの! で答える
- はっぴょう本人が正解を言う本人の発表を聞いてから、思い出せた人を記録する。順番は画面が強制する
点になるのは「思い出せた回数」だけ
得点はとてもシンプルで、正しく思い出せた人に 1 点ずつ。それだけです。答えた側には点が入りません——どんなに面白い答えを言っても、みんなに覚えてもらっても、スコアは動きません。
これは意図的な設計です。答えた側にも点を配ると「面白いことを言えた人が勝つ」ゲームになりますが、それだと即興が得意な人だけの遊びになる。このゲームが評価しているのは、人の話を聞いていたかどうかです。だから前半の自分の手番では、気の利いた答えをひねり出す必要はまったくありません。素直に答えて、余った意識を全部「人の答えを聞くこと」に回すのが正解です。
余談ですが、この採点方式は制作の途中で変わりました。最初は答えた側にも点が入る形——それも「誰にも当てられなかった人」に加点する設計でした。狙いは「うまく紛れた答え」を称えることだったのですが、試しに遊んでみると記憶に残る面白い答えほど当てられてしまい、いちばん沸かせた人が 0 点で終わった。狙いと結果が逆を向いていたので、答え側の得点をまるごと捨てて、思い出せた人だけに点を配る形にしました。だから「面白いことを言わなきゃ」の圧は、仕様として存在しません。
だれだっけ紹介ページへ →あの人、なんて答えたっけ?3〜8人6人で約10分スマホ1台覚えられなくても、終わり方は優しい
実務の話に入る前に、いちばん気になるところを片づけておきます。このゲーム、記憶力を競う形をしているわりに結果画面は勝ち負けを強調しません。得点の数字は出さず、称号だけが並びます——いちばん思い出せた人が「記憶の達人」、1 回でも思い出せた人が「よく聞いてた」、0 回だった人には「また思い出そう」。
「思い出せなかった人」を名指す言葉はどこにも出ません。結果画面はその場で読み上げられるので、そこに値踏みの語を置かない、というのが全ゲーム共通の方針です (この設計の経緯は称号設計の記事に書きました)。しかも後で書くとおり、思い出す過程はみんなで相談してよい。ひとりで完璧に思い出す必要はありません。
全部は覚えられない。何を捨てる?
ここが実務です。出題されるのは最大 12 問で、「人 × 質問」の全組み合わせからの抜粋になります。5 人卓なら 25 通りのうち 12 問で、半分くらいは聞かれずに終わる計算。人数が増えるほどこの割合は下がる (8 人なら 40 通りのうち 12 問) ので、大人数の卓ほど「全部覚える」は無謀です。最初から諦めてかまいません。
そのうえで、抽選にはひとつだけ保証があります。全員が最低 1 回は出題対象になる——「誰も出番なし」を防ぐ作りです。つまりどの人についても必ず 1 回は聞かれるので、「ひとりにつき 1 個」を全員ぶん持っておくのが、いちばん外れにくい記憶の使い道になります。
- 1全員ぶん 1 個ずつ確保する「この人といえばこの答え」を、まず全員について 1 つだけ作る。作り方は次の節のとおりで、心の中で「らしい / 意外」と一言つけるだけ
- 2記憶に残った珍答を足す印象的な答えは放っておいても覚えている。ここは努力しなくてよい
- 3無理なものは捨てる普通すぎて誰の答えか区別がつかないものは、覚えようとしても混ざる。潔く捨てる
覚えるのではなく、結びつける
「覚える」と身構えるとかえって残りません。答えそのものではなく、その人と答えの関係を作るほうが定着します。
いちばん簡単なのは、その人らしいかどうかで色をつけること。「あの人がそれを言うのは意外だった」「いかにもあの人らしかった」——この判定を心の中で 1 回するだけで、あとから引き出しやすくなります。ちなみにこの判定は声に出してしまってもかまいません。「え、意外」と言うだけで場が温まり、しかも自分の記憶に残る。このゲームでいちばん得な発言です。
もうひとつ、答えた瞬間に本人を見る。答えを聞くだけでなく顔とセットで記憶するほうが、後半で「誰の答えだっけ」に強くなります。前半でスマホを見ている必要はまったくない——入力する項目が何もないので、視線は全部その場の人に向けられます。
思い出せないときの手
後半で詰まったら、この順で手を出してください。
- 1質問のほうから引く「あの人が何て言ったか」で出ないときは「この質問のとき誰が何を言ったか」を順に。人で引くより記憶の道筋が太いことが多い
- 2声に出して相談する「たしか食べ物系だった」「いや、乗り物」。思い出す過程は全員でやってよく、最後に せーの! で答えるので途中の相談は誰の損にもならない
- 3本人の顔を見る出題されている本人もその場にいる。「みんな全然違う」という表情が手がかりになる (もっとも、本人が忘れていることもよくある)
とくに 2 つ目が効きます。当てっこは個人戦のように見えて、掘り起こしはみんなでわいわいやる時間です。ここが盛り上がりの中心なので、思い出せない人ほど声を出したほうが楽しめます。
ちなみに出題されている本人も、その場にいます。本人が自分の答えを覚えていて「みんな全然違う」という顔をしている、その表情も手がかりのうちです。もっとも、本人が忘れていることもよくあります。
進行の注意はひとつだけ
本人が正解を発表する前に、思い出せた人を記録しないこと。これは画面のほうで順番が強制されていて、発表するまで採点に進めません。進行役は「せーの! で答える → 本人が発表 → 誰が合っていたかを確認」の順を守るだけで大丈夫です。
1 ゲームは 約 10 分です。
デッキ選びも、このゲームでは「覚えやすさ」が判断軸になります。答えがばらけるお題ほど、誰が何を言ったか区別しやすいからです。その意味で強いのが「とつぜんですが」——突飛な仮定の質問なので答えが人によって大きく散り、しかも過去や生活を聞かないので初対面でも詰まりません。初めての卓はここから。
逆に「こどものころ」「マイルール」は自分の生活やクセを答えるお題で、答えがその人らしさに直結するぶん記憶に残りやすいという利点があります。ただし自己開示の度合いが上がるので、仲のいい卓向け。「みらいのはなし」はその中間で、将来の話を健全に聞くお題です (場面ごとの一般的なデッキ選びはデッキの選び方大全に)。
まとめ: 前半は聞くための時間
点が入るのは思い出せたときだけなので、自分の答えは素直でいい。全員ぶん 1 個ずつ「この人といえばこれ」を作り、あとは印象に残ったものだけ拾う。覚えるのではなく、その人らしいかどうかで色をつける。詰まったら質問のほうから引いて、みんなで声に出して掘り起こす——だれだっけのコツはこれだけです。
ほかのゲームのコツはせーのドンの多数派の読み方やけたちがいの数字の詰め方にもあります。
次の卓では、自分の番より人の番に集中してみてください。